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2012/05/22

Tinker,Tailor,Soldier,Witch

 仕事が行き詰まったので(わりといつものこと)、気分転換に新宿で映画。ジョン・ル・カレ原作の『裏切りのサーカス』と『ストライクウィッチーズ 劇場版』(2回目)をハシゴで観てきました。『ストライク』は一回目買い忘れていたパンフレットをしっかり入手。そして『サーカス』の完成度の高さは本当にヤバかった! せっかくなので、今日はこの二本について書きます。
 まずは『ストライクウィッチーズ 劇場版』の感想から。

 劇場版『ストライクウィッチーズ』。TV版を観てた人には説明不要の美少女空戦アニメ。さすがに劇場版はマズルフラッシュと空薬莢の飛び散り方が美しい! バルクホルン姉さんがMGの加熱した銃身を交換するシーンもあって、戦闘シーンは大興奮。細部がよくできていると全体が引き締まる好例です。宮藤芳佳さんは、もう完璧に少年漫画の熱血主人公路線でしたね。今回の芳佳さん、戦闘中に『導火線』のドニー・イェンみたいな鼻血の流し方をします。ここ最近見た中では一番熱いキャラクターに仕上がっていました。

 そして、『裏切りのサーカス』。映画は凄くよかったのに、いまだに邦題が納得いきません……(これもわりといつものこと)。原作の『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』ってタイトル、超かっこいいと思います。

(予告編)
 それはさておき、この映画。リアリティのない「説明セリフ」が極力排されているのが凄いです。それでも、決してわかりにくくはなってない。ライムスターの宇多丸がラジオの映画評の中で、「電話をとったキャラクターが、いきなり『なに! **が**しただと!?』と口にするような、現実にはありえない会話するのはもうやめませんか?」という話をしていて、少なくともこの『裏切りのサーカス』に関してはそういう心配を一切しなくていい。監督が、観客の読解力と俳優の演技を「信頼して撮った」結果でしょう。(でもまあ、ついついやっちゃうんですよ……。こんなこと書いておいてフォローするのもナンですが、小説でも脚本でも、いざ実際に自分でやってみると、無意識のうちに説明過多になることがたまにあります。それは本当に、まったく故意ではなく)
 監督はトーマス・アルフレッドソン。超傑作『ぼくのエリ 200歳の少女』でハリウッドから注目された人です。『ぼくのエリ』を観たときにも思ったんですが、残酷シーンから「逃げない」監督さんなんですよね。『裏切りのサーカス』でも、何箇所か強烈な殺人シーンがあります。しかしそれは無意味な残酷さではなく、諜報の世界の非情さを描くために絶対に必要だったと伝わってくる。残酷シーンを入れると少年少女が劇場に入れなくなるので、興行的な判断で削除されることが多いんですが、この監督さんにはそういった「ぶれ」がない。『ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン監督も同じタイプで、とにかく次回作も気になります! 私、気になります!

 で、ふと思ったのは……。
『裏切りのサーカス』と『ストライクウィッチーズ劇場版』。ジャンルも方向性もまったく異なる二作品ですが、続けて鑑賞すると共通点がありました。それは、「熱心なファンへのサービス精神」です。
『裏切りのサーカス』はジョン・ル・カレ原作。僕はわりとエスピオナージ(スパイもの)が好きなので、『寒い国から帰ってきたスパイ』や映画原作『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を含むスマイリー三部作くらいは読んでます。原作の特徴は、徹底的なリアリティと文章からにじみ出る疲労感。非情な世界で戦うことに疲れきった男たちに、緻密で地味な調査描写を通して身体感覚が重なってくる。だから僕は映画版にも「心地良い疲労感」を求めて劇場に足を運んで、その欲求は見事に満たされました。
『ストライクウィッチーズ劇場版』を鑑賞するのは、当然TV版のファンという人たちが圧倒的に多いはずです。高村和宏監督は、ファンの思いに応えるため、劇場版に大量のウィッチたちを投入しました。いわゆるワールドウィッチーズです。大スクリーンでニパやアメリーを観ることができてそれはもう興奮しましたよ! 他にも、バルクホルンの過剰なシスコンぶり(そして宮藤芳佳への執着)や、リーネと芳佳の甘々なやり取りなど、期待していたものがしっかり(期待以上に)描かれているわけです。
『裏切りのサーカス』も『ストライクウィッチーズ』も、劇場をやる前に「すでにファンがいる」作品であり、ファンには劇場で「みたいもの」「みたくないもの」があります。この二作品は、そんなファンの思いの汲み取り方が絶妙であり、製作者たちの姿勢にはなんだか通じるものを感じてしまったのです、個人的には!(強引なまとめ)。……とはいえ、ある程度の予備知識があればどちらも初見でも楽しめるように工夫されているのも事実。公開規模はそんなに大きくありませんが、大スクリーンで観ることに価値のある映画です。


 これはどうでもいい話なんですが……。僕が持っている『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は1986年発行の菊池光翻訳版です。amazonで見ると、中古価格がかなり上がっていてびっくりしました。新訳版はちょっと読んでみただけで詳しいことはよくわからないのですが、どうなんでしょうかね……。時間があるときにでも読み比べてみます。
 翻訳者によって違いはあるものの、基本的にジョン・ル・カレの文章は描写が細かくてねちっこい。読むのに時間がかかります。しかしその文章の「ねちっこさ」は、プロのスパイたちの「観察力」を表現するために必要不可欠なものなんですよね。スパイは細かいことまで気づく。だから作者は細かく書く。『スマイリー三部作』では、英国諜報部、香港死闘篇『スクールボーイ閣下』が一番好きです。
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