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2012/03/03

『ドライヴ』


 ジェイムズ・サリスの『ドライヴ』早川書房。本当は映画版がもうすぐ公開なのでそれまで我慢しとこうかと思ったんですが、結局読んでしまいました。最初の数ページで、もう止まらなくなってあとは一気に。映画版は、この原作に忠実であればあるほど素晴らしい傑作になっているはずです。僕のストライクゾーンのどまんなかに入る一冊でした。



『ドライヴ』の予告編を最初に見たときは、ウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』のリメイクか、あるいはそれに強く影響を受けた映画かと思いました。実際、原作には『ザ・ドライバー』を意識したと思われる要素がいくつかあります。たとえば、主人公の名前が登場せず、劇中ずっとただの「ドライバー」としか呼ばれないこと。犯罪者のための運び屋であること。そして、主人公が劇中で演じるスタントの一つが、明らかに『ザ・ドライバー』のワンシーンっぽいこと。でも、もちろん、仕上がりは全然別物です。
 この映画原作『ドライヴ』。手触りにたとえると「ザラッ」とした感じの小説でしょうか。ちょうどこんな本が読みたい気分だったんです。フィッツジェラルドとチャック・パラニュークを足して二で割って暴力を追加したようなイメージ。主人公の「ドライバー」は、性格はおとなしくて真面目、冷静沈着、話し方も理知的、それなのにいざとなると人を殺すことにまったくためらいがない、という……僕が死ぬほど好きなタイプです。
 物語が進むと、こっちが予想した展開をことごとく裏切っていくんですよね。ちょっと調べてみると、どうやらこの定石の外し方が作者であるジェイムズ・サリスの特徴みたいで。感動的なシーンほど淡白に描くんです。その計算された淡白さと無駄のなさのおかげで、こちらは物語に感情をのせやすい。想像力を使って作中の「空気」を楽しむことができる。特に印象的なのは、主人公の母親に関する回想。日常のなんてことない一コマを切り取って、些細なきっかけで人間の心が折れる瞬間を活写します。映画版の公開が楽しみで楽しみでたまりません。
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