2011/10/12

読書のための映画観賞。



 高野和明先生の『ジェノサイド』が本当に面白かったので(ちょっと「今頃かよ!」という感じもするのですが)、このブログで記事にすることにしました。冒険小説であり、SFであり、王道であり重厚な父と子のドラマでもあります。バグダッドで仕事をしていた傭兵と、日本の大学院生。普通なら無関係のまま終わったであろう二人の人生が、ある事件をきっかけに交錯する──そんな話なんですが、なるべく予備知識なしで読み始めるのをおすすめします。僕も『ジェノサイド』本編の「ここがよかった!」みたいな話は書きません。書評みたいなものは、もうあちこちで見ることができると思いますし……。
 というわけで、今回の更新は「『ジェノサイド』をもっと楽しむための映画三本」です。この本を「ハリウッド映画的!」と褒める意見はよく聞きます。じゃあ、具体的にどの映画なのか? 「映画みたい」「映画をしのぐ」というだけじゃあんまり褒め言葉になってないと思うんですよ。ちゃんとタイトルをあげなきゃ意味が薄くなるのではないか、と。そこで、まずは……。

1・『ティアーズ・オブ・ザ・サン』

 アメリカ海軍特殊部隊シールのウォーターズ大尉にとって、それはごくありふれた任務に思われた。「アメリカ国籍の女医リーナ・ケンドリックスを救出せよ」ウォーターズと7人の部下はリーナが治療にあたっている内戦下のナイジェリアの村に到着。あとはヘリとの合流地点に移動するだけ……。
 だが思わぬトラブルが発生し、300人を超える敵に囲まれてしまう。
 困難な状況から無事に脱出することが出来るのか

(DVDの内容紹介より)

『ジェノサイド』の劇中、ある目的のために集められた傭兵部隊がアフリカ大陸コンゴ民主共和国の密林を進むシーンがあります。その情景を思い浮かべる際、頭の片隅でぼんやりと映画『ティアーズ・オブ・ザ・サン』を意識していました。そのせいで、『ジェノサイド』の主人公の一人、傭兵のジョナサン・イエーガーは(僕の中では)ブルース・ウィリスのイメージです。イエーガーたちの装備は米軍提供のものなので、具体的に彼らがどんないでたちでどんな動きをしているのか──この映画をあわせて見ておくと、より文章がリアルに感じられるのではないかと思います。

2・『ジョニー・マッド・ドッグ』


 相次ぐ内戦で混乱するアフリカ。そこには反政府軍を名乗り、虐殺・レイプ・強盗など暴虐の限りをつくして人々を恐怖に陥れる少年兵のコマンド部隊があった。
『マッド・ドッグ』と呼ばれ、部隊のリーダーである15歳のジョニーは、彼の右腕『ノー・グッド・アドバイス』ら荒くれ者たちを率いて、ありあまるエネルギーを戦闘で爆発させていた。残酷な殺戮をくりかえしながら大人さながらに隊長から受けた命令を遂行していく少年兵たち。
 一方、ジョニーたちによる街への進攻が迫る中、13歳の少女ラオコレは、戦争で両足をなくした父親の命令で、8歳の弟フォフォを連れて2人で逃げていた。
 しかし、ラオコレたちは、隠れているところをジョニーに見つかってしまう。ところが何故かジョニーは彼女たちに銃を向けずに去ってしまう。ジョニーから逃れた彼女は弟をビルに隠し、動けずに家に留まった父親を助けに家へ向かうのだが……。

(DVDの内容紹介より)

『ジェノサイド』にはいくつもテーマがこめられていますが、そのうちの一つが「少年兵」です。ニュースやドキュメント番組でも扱われることの多いこの題材。この少年兵の恐怖と絶望を扱った映画の中で、最もストレートで最もわかりやすいのがこの『ジョニー・マッド・ドッグ』ではないでしょうか。いわゆる爽快感のある映画ではありませんし、後味もかなり悪いのですが、観客の心に重い何か残す、というのはこの種の作品にとって重要なことです。

3・『ワールド・オブ・ライズ』


 世界を救おうとする2人の男。CIA工作員のロジャー・フェリス(ディカプリオ)と、彼の上司であるベテラン局員、エド・ホフマン(クロウ)。
 フェリスは、世界中の情報網の中枢に潜入し、現場を知らない上司にキレながらも、命を張って働く男。一方のホフマンは、平和な自宅や安全な本部から電話一本で命令し、部下の意見は無視する冷酷な男だ。
 そんな生き方も考え方も違う2人の目的はひとつ。地球規模の爆破事件のリーダーを捕まえること。
 足跡すら残さない正体不明の犯人をおびき出せるのは、「世界一の嘘」しかない。フェリスとホフマン、そして他国の諜報部の、息もつけない頭脳戦が始まった!
 果たして世界を救うのは、いったい誰のどんな嘘か
(DVDの内容紹介より)

『ジェノサイド』には情報戦、電子戦、最新の無人機描写といった、国際謀略スパイ小説的な面白さもあります。実際にアメリカが国外で秘密作戦を実行するとどうなるのか? それを知るための良質なノンフィクションは何冊も出ていますが、映画ならこの『ワールド・オブ・ライズ』がおすすめ。細部の描写はそれほどマニアックではありませんが、予算のかかった映像だととにかく雰囲気がつかみやすい。ディカプリオがかなりきつめの拷問をされるという、ファン(?)必見のシーンもありますよ!
 現在、戦場の最新テクノロジーがどこまで進んでいるのか。もっと詳しく知りたい人には、井上孝司先生の『戦うコンピュータ2011』をおすすめしておきます。兵器のIT化、無人ヴィークル、軍用コンピュータとCOTS化、ネットワーク中心戦……リアルにやればやるほどSFに近くなっていく時代です。



 他にも『ジェノサイド』を読んで思い出した映画は何本かあるのですが、迂闊に全部書いていくとネタバレになっちゃう危険性もあるんですよね……。というわけで、今回はこんなところで。最近また少し忙しくなってきて、生涯のベスト映画をジャンルごとに五本紹介する記事が「コメディ編」で止まったままです。でも、そのうち続きもやりますよ! 
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