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2011/09/03

つながる映画の話。

 ツイッターでのことなんですが、
『深見先生の人生においてコレは見ておけな映画ランキングTOP5、銃火器編、恋愛編、アクション編をそれぞれお聞きしたいです』
 というリクエストがちょっと前にありました。
 そしてWEB拍手にもこんなコメントが。

> パラベラム最終巻読みましたーもうとっても良かったです!一兎としふぉにはぜひ幸せになってほしいと思います。。映画部のみんなを見ていたら映画をたくさん観たくなりました。映画鑑賞はぜんぜんしないビギナーなのですが、人生で絶対に観ておいたほうがいい映画とか、初心者のひとにお勧めの映画とか、映画の観かたがあったら、よろしければ教えてください!よろしくお願いします!

 せっかくなので、じゃあ今回からしばらく映画関連の更新を続けます。
「観ておいた方がいい映画」……難しいお題をいただきました。
 映画を観賞することは、別に義務化されているわけではありません。読書やゲームもそうです。人間は衣食住で生きていけます。そういったことを踏まえたうえで、なお「観ておいた方がいい映画」があるとすれば、それは人生を豊かにするものということでしょうか。役に立つ立たないとかではなく、その時間は豊かであるか否か。これも個人差がかなりありそうで、やっぱり難しい。

 過去の名作を知っていると、その影響下にある作品を観賞したときに面白さが増すことがあります。過去と現在が、思わぬところでつながっている。たとえばモンゴメリー・クリフトとバート・ランカスターの『地上より永遠に』という映画があって。アニメ『ストライク・ウィッチーズ』の第二期最終回のサブタイトル『天空より永遠に』は、そのオマージュ。
『地上より永遠に』は太平洋戦争開戦直前のハワイの米軍基地が舞台。主人公はラッパ吹きなので、ちょっとだけ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』を思い出したりもします。
「軍隊に入らなきゃラッパも吹けなかった」……モンゴメリー・クリフト演じる主人公ブルーイットの台詞です。もしかしたら制作スタッフも意識したのかもしれない……そんな想像をすると、ますます作品に対する愛着が深くなるような気がします。
 今回の更新では、今も誰かに影響を与え続ける過去の傑作映画五本を紹介。超有名どころばかりなので「もう観賞済み!」という人も多いでしょうが……。暇なとき、レンタルビデオ店で映画を選ぶ際にでも参考になれば幸いです。

1・『ローマの休日』


 これはもう説明不要でしょう。ただ名作というだけでなく、恋愛映画、コメディとしても大好きな一本です。ローマの休日に影響を受けた作品やオマージュを捧げた作品は多すぎて数えられないほどです。ヒュー・グラントの出世作『ノッティングヒルの恋人』から、『ガンダムUC』や『ストライク・ウィッチーズ2』の第五話まで。幅広く。脱け出した王女様が、寝ぼけたまま新聞記者(グレゴリー・ペック)についていく出会いのシーン、今見てもあまりに可愛くて魅了されます。

2・『カサブランカ』
 僕の亡くなった父も大好きな映画でした。
 物語の舞台は、第二次世界大戦中、ナチスの統治下に置かれたモロッコの都市カサブランカ。
 ロマンティックなラブストーリーと抵抗運動のサスペンスが同時に描かれます。
 陳腐な表現になりますが、この映画で初めて「男の美学」みたいなものを意識しました。
『鷲は舞い降りた』(翻訳・菊池光 ハヤカワ文庫)の完全版には、佐々木譲先生のこんな解説が掲載されています。一文引用で。

 この事実は、本書がすでにこのころ、英語圏の男たちにとって「基礎教養」となっていたことを示している。(中略)もっと言ってしまえば、いまや本作品は、映画の場合の『カサブランカ』に近い位置にあるのではないか。『カサブランカ』は、ファッションとかエンターテイメントを語るとき、知らなければ話にならないという基本的な素材の一つだ。

『ヘルボーイ』という海外の漫画を読んでいたら、敵の支配下にある夜の空港に忍びこんだ主人公が「あたりはナチだらけでカサブランカのラストみてえだ」と言うシーンがあって。本筋には直接関係ありませんが、この映画を観ていることが前提のギャグなんですよね。

3・『市民ケーン』
 この映画の技法が世界の映画人に与えた影響は計り知れないものがある。例えば手前の人物と奥の人物の焦点をぴたりと合わせる事によって、二人の人物の心の動き、画面の奥行きを表現するパンフォーカス。鏡を多用して一人の人物の表情をあらゆる角度から捉える鏡の技法。わざわざセットに穴を掘りキャメラの目をうんと低くして人物の心理を捉えるローアングルのテクニック。数えあげればきりがない。ある大人物が「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して死ぬ。その真実を求めてジョセフ・コットンの新聞記者が大人物の足跡をたどっていく。
(DVDの内容紹介より引用)
 ラスト、「バラのつぼみ」の意味がわかった瞬間、ぐっときます。謎の言葉を切っ掛けに、好奇心を刺激された新聞記者が、すでに死んでしまった新聞王の心に深く切り込もうとする。執拗に描かれる孤独と喪失。この映画についてはあちこちで散々語り尽くされているので、今さら僕が付け足すことなんてほとんどありません。人間の複雑さを描くために必要だった複雑な編集と脚本。最近だと、デビッド・フィンチャーの『ソーシャル・ネットワーク』が『市民ケーン』を強く意識しつつ制作されたとか。

4・『街の灯』
 監督主演チャールズ・チャップリン。
 街の貧乏な放浪者が、目が不自由なやはり貧しい花売りの娘に恋をする。
「お釣りはいらない」
 親切にされた娘は、放浪者のことを大富豪の紳士と勘違いしてしまう。
 放浪者は彼女の目の手術のため必死に働いて金をためようとするが……。という物語。



 無声映画とトーキーのほぼ中間という、若者にはかなりハードルの高い映画なんですが、それでも一見の価値はあると思います。コミカルでロマンティックで、ほろ苦い。後半は結末を知っていてもハラハラします。チャップリンだと『ライムライト』や『独裁者』も好きなんですが、ここは『街の灯』で。やはり笑いの基本は登場人物たちの「勘違い」なのかもしれません。お笑い芸人アンジャッシュのコントや漫画『それでも町は廻っている』なんかでよく描かれる要素です。あと、チャップリンの映画を見ると、ジャッキー・チェンが本当に強く影響を受けていることがわかる。他にも、ジャッキーはバスター・キートンへのオマージュやリスペクトも凄いです。それはまた別の機会に。

5・『十二人の怒れる男』

 17際の少年が父親殺しで起訴された。事件を審議する12人の陪審員のうち、11人の結論は有罪で一致。しかし、8番陪審員だけが有罪の根拠がいかに偏見と先入観に満ちているかを主張する。審判には12人全員の一致が必要だが、次第に少年の無罪を示唆する証拠が浮かび上がり、ひとり、またひとりと審判をひるがえしていく……。
(DVDの内容紹介より引用)

 密室劇の原点にして到達点と言ってもいいのではないでしょうか。制作は1957年。監督シドニー・ルメットはすでに故人ですが、映画にこめられた「まず、話し合う」という力強いメッセージは今もなお色あせることがありません。「本気で無罪を?」と訊かれても、主人公の8番陪審員は「分からない」と答える。「何をしたい?」と訊かれたら「話し合う」と答える。
 他の陪審員は「百年話しても同じだよ」と言う。
 しかし、8番陪審員は自分の主張を曲げない。
「11人が有罪だ。私が賛成したら簡単に死刑が決まる。人の生死を五分で決めて、間違ったら?」
 初めて観賞したあとの心地よい疲労感が忘れられません。
 今回あげた五本の中では一番好きな映画です。

 というわけで今回はここまで。
 これから恋愛映画やコメディ、ホラー、格闘アクション、銃撃戦……いくつかのジャンルに分けて鉄板のおすすめを紹介していきます。
 最後に、なぜ過去の名作を押さえておくのが大事なのか、進化生物学・生物統計学の専門家である三中伸宏の著作、講談社現代新書刊『系統樹思考の世界』より一部引用で。

 単純な事実とは──「進化」するのは〈生きもの〉だけではないということ。時間の経過とともに、生物と無生物の別に関係なく、自然物と人造物のいかんを問わず、過去から伝わってきた「もの」のかたちを変え、その中身を変更し、そして来たるべき将来に「もの」が残っていく。私たちが気づかないまま、身の回りには実に多くの(広い意味での)「進化」が作用し続けています。
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