2011/04/29

再ブーム。

 本当かどうかは知りませんが、
「ブルース・リーのブームは10年に一度やってくる」そうです。
 ブルース・リーに限らず、定期的にやってくるマイブームって誰にでもありますよね。今、僕は十数年ぶりのジャッキー・チェンブームです。ジャッキーの映画を流しながら仕事するとこれがはかどるはかどる! という。昔はジャッキー映画の、アクションシーンに突然コメディ要素がくわわるのが苦手だったんですが、いつの間にかそれも楽しめるようになっていました。たぶん、普段僕は、あまりに暴力的で残虐な映画ばかり観ているから、ジャッキーのコメディアクション路線が逆に新鮮に見えたのかもしれません。……とか言いつつ、改めて見るとやっぱりスタントの命がけ具合は半端じゃないし、結構本当に「当てて」るんですよね。立ち回りで。せっかくなので、今回の更新はジャッキー特集。
 題して「今なら廉価版で手に入る! 個人的ジャッキー映画傑作選」
 大手家電量販店のDVDコーナーやamazonで買える、三枚三千円、みたいなキャンペーンの対象商品からセレクトしてみました。『酔拳』シリーズや『プロジェクトA』シリーズはあまりにも定番すぎるので、それ以外で。


・『サイクロンZ』
 あまりアクション映画っぽくないジャブから、とてつもない蹴り技の応酬まで……ジャッキーVSベニー・ユキーデの死闘が伝説となっている『スパルタンX』。そんなベニー・ユキーデとの名勝負がもう一つ。
 それが『サイクロンZ(原題Dragons Forever)』です。
 僕はこう、ジャッキー、サモハン、ユンピョウの三人が並んだ画が大好きなので、そこも高得点。ジャッキーだけでなく、サモハンが観てるこっちがドン引きするような鋭い後ろ回し蹴りを放つシーンが印象的です。あの体格で……!
 ちょっと昔の香港映画の特徴として、主人公たちは普通にろくでなしだったりするので(『サイクロンZ』のジャッキーは弁護士。でも、こんな弁護士がいたら嫌だ! いくら悪い奴でも依頼人を裁判所で殴ったりしたらダメだ! 暴力弁護士つながりで『デアデビル』思い出しました)、そのあたりは今見ると引っかかることもありますが、大事なのはやっぱりアクション。これは『サイクロンZ』に限らないんですが、よくできた香港映画の立ち回りは拳や蹴りの破壊力表現が巧みです。外れた攻撃が周囲の「何かを壊したり」、攻撃をくらったスタントマンがその身体能力を生かした超絶リアクションをとることで、観ているこっちにもいかにヤバい戦いを繰り広げているかがよく伝わってくる、という。
 サモハンとジャッキーを比べて見ると、サモハンのほうがやや「実戦寄り」の動きをしているのがわかるのも面白いです。もちろん、サモハンも映画のノリに合わせてオーバーなアクションをやっているんですが、どこか滲みでるものがあるというか……。あと、サモハンが敵に捕まって麻薬漬けにされるというショッキングなシーンも!




・ヤングマスター
 この映画は、面白くて楽しいカンフーアクションを追求しすぎたために、最後は狂気の域に踏み込んでしまったという好例です。悪役を演じたウォン・インシクとのラストバトルはおよそ17分! 立ち関節技の応酬など見応え十分。ただ、17分間の後半で、明らかにジャッキーのテンションがあがりすぎてちょっと異様な感じに。そして重傷で師匠のもとに戻ったジャッキーの表情が狂気以外のなにものでもなくて悪夢に出てきそう。ユン・ピョウとの椅子を使った複雑なバトルなど見どころが多い!




・大福星
 原題は『My Lucky Stars』。日本ロケが印象的……というか、これ本当に日本で撮ったの!? なんて思わず独りでテレビに向かって突っ込んでしまうような無茶なシーンがてんこ盛りの一本。オープニングの富士急ハイランドの追跡シーンでいきなり度肝を抜かれます。ジャッキーもユンピョウも高度なアクションを披露しますが、一応主演はサモハンなのだとか……おいしいところはジャッキーが持っていくんですけどね。
 しかし、時代を感じさせるアラレちゃんの着ぐるみやありえない忍者装束の敵たちなど、日本描写を中心にあちこちかなり緩め! 刑事を演じたシベール・フーや肉体美を披露した西脇美智子といった女性陣の扱いがかなり雑なのももったいない! それでもジャッキーとディック・ウェイ(『プロジェクトA』の海賊頭目、この映画ではなぜか学ラン姿)のバトルや黄色いトラックスーツを着込んだサモハンは一見の価値あり!




・『奇蹟/ミラクル』
「パズラー」ジャッキー・チェン本領発揮の一本!
 古典を下敷きにしているおかげで、脚本の安定感が抜群の映画です。田舎から出てきた武術だけがとりえの青年(ジャッキー)が、偶然マフィアのボスになってしまい大騒動に巻き込まれる。基本的に悪役もみんないい人になっていくという温かい話で、古いギャング映画のような演出も相まって全編どこかおとぎ話的なロマンティックな雰囲気が楽しいです。ロマンティックとか言いつつ、途中の人力車を使ったアクションやラストバトルはやっぱりバリバリのジャッキー、香港テイスト。
 僕はカンフー映画の魅力として「パズル要素」「知恵の輪要素」があると思ってます。香港スタイルの格闘描写だと、戦っている人間同士の腕や足が複雑に絡み合う展開が多い。しかもそれが一瞬で次々と形が変わり、硬い結び目の紐をほどくように相手の防御を崩していく。複雑なパズルを解いた瞬間の快感。それに近いものが良質の香港カンフー映画にはあるのではないか。特にジャッキー映画ではその傾向が顕著です。クライマックスの制縄工場での戦いは、奇想天外な方法で敵から逃げ、敵を拘束していきます。パズルといえば、『ゴージャス』の金属バットを使ったアクションも凄かったなあ……。

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