2012/04/25

6月に向けて。

 まず、仕事のお知らせから。
 角川の漫画誌「nanoエース」で連載している、原作深見、漫画α・アルフライラ先生の『ちょっとかわいいアイアンメイデン』。6月の前半に単行本になります。女子高の拷問部が舞台のさわやか青春コメディ。念願の企画だったので、本が書店に並ぶのが楽しみです(とはいえ、まだ自分もアルさんも作業が残っているのですが……)。





 そして、同じく6月の後半に富士見ファンタジア文庫で新作を出します。タイトルは『シークレット・ハニー 船橋から愛をこめて』。商品情報には「ハニートラップ&アクション」なんて書いてありますね。たしかに諜報員の少女がたくさん出てくる話です。富士見ファンタジア文庫ではすでに『GENEZ』シリーズを展開中ですが、そっちももちろん忘れたわけではないですよ! ただ、急にスケジュールが空いた時期があったので、そこでどうしてもラブコメを書きたい気分になり(わりと発作的に。そういうことありません?)、とんとん拍子で話が進んで発売日決定という。スパイといえば、ジョン・ル・カレ原作の映画『裏切りのサーカス』面白そうですよね。仕事が忙しくて、いつ観に行けるかわからないんですが。

 いつも感謝のWEB拍手レスです。
 かなり間が空いてしまったうえに、返信の数も少なくて申し訳ないです。もちろん、コメントにはすべて目を通しております。
> GENEZ‐7 YGC文庫版読了しました。 GENZEはすごいことになっています。まさかあの人が・・・ 謎が次々と明らかになっていくのは大変面白いです。次巻への期待が高まるばかりです。 YGCも息のつく暇もない展開で、目が離せません。頑張れ塵八!  まだまだ寒い日が続きますが、フカミン先生もお体を大事に執筆なさってください。  nakamura
 楽しんでいただけたのなら何よりです! ありがとうございます。自分が仕事をしていけるのは読者さんのおかげですので……。ちょっと間に新作を挟んでしまいますが、GENEZ-8も準備していきます。次もよろしくお願いします。

> GENEZ読みました。服部はYGCのキャラを髣髴とさせる良い悪役でWKTKしながら読みましたw。 
 どうもです。GENEZであそこまで悪辣な人物が出てきたのは初めてかもしれませんね。服部みたいなキャラクターは動かしやすいです。

> GENEZで謙吾が絶賛するシーンがありましたが、深見センセは5.7mmもお好きなんですか? てっきり45口径スキーだとおもってましたが・・・、自分が5.7mmを知ったのは、シナリオライターの故菅野ひろゆき氏の作品でした。氏の銃の描写は好きだったのですが・・・惜しい人を亡くしました。
 四五口径もいいんですが、五・七ミリは撃ってみるとあまりにもよく当たるので絶賛しないわけにはいかなくなりました。反動が素直で、連射しても凄く気持ちよくて、いい弾丸だと思います。
 あと、菅野ひろゆき先生の作品は僕も大好きでした。ちょっと前に『YU-NO』を何度目かクリアしたばかりで。

> フカミンのブログでチェックして映画館に行くようにしています。ご多忙でしょうが、ブログの更新ヨロシクです!最近のお薦め映画は?
『バトルシップ』と『ジョン・カーター』観たんですが、超大作のわりには人を選ぶ内容でした。僕は一応、両方楽しかったです。スパイ二人が一人の女性をめぐって戦う『ブラック&ホワイト』は、ノリがいい映画を観たい気分なら確実に面白い一本。アニメだと、『ストライクウィッチーズ』の劇場版で大興奮。あと、レンタル鑑賞だったんですが、ジョニー・デップとゴア・ヴァービンスキーのカメレオン西部劇『ランゴ』が凄く良かった。今はとにかく『タイタンの逆襲』と『裏切りのサーカス』を早くチェックしたいです。ああ、最後にもう一本だけ。カンフー映画好きならドニー・イェンの『捜査官X』(放題かっこわるいですね……原題は『武侠』です)は必見ですよ!

> 『猟犬』文庫化ですか……少し前にハードカバーを取り寄せて買ったから秒な気持ちですww でもすごく面白かったです。やっぱり文庫化するのは、ハードカバーが発売されてから何年後、とか決まってるんでしょうか?
 そういうことたまにありますよね……すみません。だいたい、短くても二年くらいは単行本からハードカバーまで時間を空けるようです(出版社によってちょっと基準は違うと思いますが)。

> 『沙粧妙子 最後の事件』、懐かしいですねえ。原作は未読ですが、ドラマはオラにしては珍しく最後まで見た記憶があります。確か、まだ駆け出しの広末涼子がチョコッと出演していたような。女性が主人公のハードボイルドといえば、グレッグ・ルッカの「天使は容赦なく殺す」がおススメです。広江礼威の表紙がカッコいいのですが、内容も抜群です。国内では、SATをテーマにした黒崎視音の「六機の特殊」、作品の女性像が酷評されたりしているようですが、スーパーマン的でないSAT隊員達の描き方がオラは結構好きで、特に「村上真喩」は大好きなキャラクターです。実は、新刊で買ったまま積んであって、つい最近完読したのですよ。あはははっ。ジェイムズ・バイロン・ハギンズの「極北のハンター」に登場するバレットAMR使いの特殊部隊員のおねーちゃんも中々イイ味出してますが、映画化の話はどうなっちゃったんでしょうか。しっかりしろよ、伊藤ハムのオッチャン。
 いつも面白そうな本をおすすめしてくださってありがとうございます! 物騒な内容の本にはわりといつも飢えているので、時間ができ次第チェックさせて頂きますね。

> こんにちは、「小説を書いている者」です。今日『GENEZ7』読了しました!まだはっきり明言された訳じゃないけど、恐らくこう言う事なんだろうなと思われる「不死身時間を延ばす方法」にはビックリしました! あと100年は進歩しないだろうと思っていたあの二人がまさか・・・そりゃ「彼女」も裏切りたくなるわなと(笑)でも「時間を延ばす為に」じゃなく、二人の愛が謙吾を救ったと言う点に少し感激です! 爆弾魔との因縁もひとまず決着し、大満足の7巻でした!
 どうもです! 謙吾とユキナの二人は、もうすでに僕の思惑から離れて動くことが多いキャラクターなので、読み返してみて「へえー、こうなるのかあ」と素で驚くことがあります。もちろん大まかな流れは決まっているのですが、それでも長編やシリーズものには「最初は予定していなかったこと」が起きるのが醍醐味ですね。

> 遅ればせながらパラベラム最終巻読了しました。冷徹なドSの一子がどんどんカワイクなっていく様子に萌え狂いました^^
 ちょっと懐かしいですね。パラベラムは、シリーズの中では最終巻が一番気に入っています。それにしても……一子ってドSって言われるほどでしたっけ?(笑)

> 「ドライヴ」公開が待ち遠しいです! フカミンの新作はいつごろ出ますか?「猟犬」文庫版はもうすぐですね!
 ようやくちょっとだけ新作情報を公開できました。『ドライヴ』は本当に面白かったです。原作とはだいぶ味が違いましたが、単純に映画としての完成度が物凄く高かった感じで。

> 不勉強で「バンド・デシネ」知りませんでした。読んでみようと思います! たくさん読んで書いて…季節の変わり目。フカミン、健康に気をつけてください。
 ありがとうございます。そちらこそ体調にはお気をつけて……。バンド・デシネにはクセがありますが、読み慣れると凄く楽しいと思います。読書したいし映画も観たいし体も鍛えたい。世の中、楽しいことが多すぎて、時間が足りなくて大変です。
スポンサーサイト
2012/04/05

バンド・デシネの話。

 最近バンド・デシネに興味があります。バンド・デシネとはつまり「ヨーロッパの漫画」のことです。
 エンキ・ビラル(『ニコポル三部作』や『モンスター』)が昔から大好きだったんですが、ここ数年は良作の翻訳が相次ぎ、一部でちょっとしたブームと言える状況が続いています。
 文化とは不思議なもので、距離と時間を隔てると同じ方法論を使ってもまったく別種の作品が仕上がります。日本の漫画、アメリカン・コミック、そしてバンド・デシネ。それぞれ味わいが異なります。
 僕は日本人なので、とりあえず「日本の漫画」を軸としましょう(歴史的な起源論とかはさておき)。あくまでこれは僕の個人的な感覚の話ですが、日本の漫画に比べると、アメコミは誕生時からすでに「映画的」で、バンド・デシネは「文学的」です。アメコミが映画的なのは、制作に関わっている人数が他より多いからだと思われます。
 僕が最近読んだバンド・デシネには共通点があって、どれも「心地よい不親切さ」を与えてくれます。「細かく説明しないけど、ここは読者であるあなたが知性や想像力を使って読み取ってくださいね」というスタイル。あえて文学的という言葉を使ったのは、バンド・デシネは「文章量がとても多い」か、「文章やセリフがほとんどない」か、どちらかのスタイルをとっているからです。ここ最近、特に印象的だったバンド・デシネを何冊か紹介します。

マルク=アントワーヌ・マチュー作『3秒』。そのタイトル通り、3秒の間に起きたことだけを延々と描写してある一つのサスペンスを描く。物語を進めるのは何らかの「反射」。本の中に、デジタル版を鑑賞するためのパスワード付き。本当にもうびっくりするほど奇妙な読後感の一冊です。デジタル版も、これからの漫画の新しい可能性を感じさせてくれます。
 村上春樹の小説の中で、「永遠というのは時間を『延長』していった末に生まれるものではなく、逆に時間を無限に『分割』していくことによって実現するのではないか」という話があるのですが、この本はまさにそんな感じ。


マルジャン・サトラビの『鶏のプラム煮』。希望を失い自殺を決意した音楽家の、最後の八日間を優しく哀しく描く。こんな本ばかり読んでたら僕の頭はどうにかなっちゃうんじゃないかと不安になりました。小説に関する有名な言葉で、「おおよそ物語というものは、『穴に落ちて死ぬ話』か『穴から這い上がる話』に大別できる」というものがありますが、僕はどうも最近「穴に落ちて死ぬ話」が好みに合うようです。小説でいうとウラジーミル・ナボコフ、最近読んだ本だとジュノ・ディアスの『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』などですね。
『鶏のプラム似』の物語はここで説明する必要が一切ないほどシンプルです。一人の男の半生と死。内容に余計なものがないから、男の悲哀がストレートに胸まで伝わってくる。途中で死神が登場するのですが(表紙のやつですね)、それがなんともトボけた愛嬌のあるキャラクターで、ちょっと水木しげるが描く妖怪を思い出しました。


ミシェル・オンフレ、マクシミリアン・ル・ロワの『ニーチェ 自由を求めた生涯』
 憂鬱な画風なのでニーチェの苦悩が倍増。「物凄く頭のいい人が、苦労の末に狂気に踏み込んじゃう」物語に飢えている人におすすめ。僕がこの本で特に好きな場面は、ニーチェが自分の原稿を出版社に持ち込んだときの会話です。ちょっとだけセリフを引用します。
編集者「残念ですが、あなたの書き物は誰も読みませんよ。売上げもひどいものだ。最近の著作はご自身で編集されたんですね」
ニーチェ「そうです」
編集者「書名は?」
ニーチェ「『ツァラトゥストラはこう言った』」
編集者「で、何冊売れましたか」
ニーチェ「一冊も売ってません。友人にあげたんです」

(中略)
ニーチェ「私は43歳です。15冊の本を書きました」
編集者「でも誰も読んでない! 分かってください。あなたは哲学に向いてないんですよ」



ニコラ・ド・クレシー『天空のビバンドム』
 事故で身体を失い生首だけとなった教授が、「その物語」を語りだす。
 物語の中心となるのは、奇妙な生い立ちのアザラシ、ディエゴ。彼が大都市「ニューヨーク=シュル=ロワール」にやってくると、権力者や教育者たちに歓迎される。人間たちはディエゴに「知」を授けるという。その目的は、ディエゴに「愛のノーベル賞」を獲得させて、市長の権力をさらに拡大することだった。
 ディエゴへの教育が進む中、生首になった教授と愛を憎む悪魔が「物語をつむぐ」権利を奪い合う。鳥たちはより感動的な物語を欲する。そして犬たちはこれまで秘匿されてきた人間の歴史を語る。登場する誰もが「何かを語りたがる」中、主人公のディエゴだけは「何も語らない」。カフカの短篇集のように不条理な場面が連続し、読み返すたびに新しい発見がある。緻密な作画もあいまって、今回紹介した中では一番気に入っているのはこの本だったりします。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。