2012/03/25

感謝とお知らせ。

 拙著、講談社文庫『猟犬 特殊犯捜査・呉内冴絵』ですが、どうやら一部の書店ではすでに品薄らしく、発売から4、5日ほどで早くも重版が決まりました。勢いがかなりいいらしく、ちょっと多めの増刷になりそうです。これも、読んでくださったみなさまのおかげです。ありがとうございます! 今回の文庫版は、ハードカバー版にほんの数ページ分ですが追加修正が入ったりしております。

 そして、自分と『武林クロスロード』で組んで仕事をした友人の漫画家Rebisさんの読み切りが3月26日発売の雑誌「少年エース5月号」に掲載されます。「現役声優ユニットにして、巫女!」という二人の少女が活躍する物語。タイトルは『あにめたまえ! 天声の巫女』。僕も読みました。もともとRebissなんは妖怪や仏教や神仏習合の歴史に超詳しい人なので、萌えっぽい話の中にも、時折きらりと光るマニアックな描写が見所です! そして今回の読み切りは、キュートな百合ものとしてもおすすめできますよ!
(リンク先に画像あり)
http://www115.sakura.ne.jp/~rr/

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2012/03/14

文庫化です。


『猟犬』文庫化です。
 乱射籠城事件が連続発生。実行犯は元自衛隊員と元機動隊員。
 事件を追う女刑事、警視庁捜査一課特殊班・呉内冴絵。

 昔から女刑事であったり、女性探偵であったり……ヒロインが活躍するハードボイルドやサスペンスが好きでした。たとえばサンドラ・スコペトーネの「女性探偵ローレン・ローラノ」シリーズ。ローリー・キングの「捜査官ケイト」シリーズ。映画だと、押井守監督の『攻殻機動隊』や、キャスリン・ビグローの『ブルー・スチール』。わりと新しい映画で、ヤウ・ナウホイの『天使の眼、野獣の街』。テレビドラマだと、『BONES 骨は語る』に『コールドケース 迷宮事件簿』、飯田譲治脚本『沙粧妙子 最後の事件』などなど……。女刑事ものは読むのも書くのも大好きです。『猟犬』文庫版。よろしくお願いします。
2012/03/03

『ドライヴ』


 ジェイムズ・サリスの『ドライヴ』早川書房。本当は映画版がもうすぐ公開なのでそれまで我慢しとこうかと思ったんですが、結局読んでしまいました。最初の数ページで、もう止まらなくなってあとは一気に。映画版は、この原作に忠実であればあるほど素晴らしい傑作になっているはずです。僕のストライクゾーンのどまんなかに入る一冊でした。



『ドライヴ』の予告編を最初に見たときは、ウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』のリメイクか、あるいはそれに強く影響を受けた映画かと思いました。実際、原作には『ザ・ドライバー』を意識したと思われる要素がいくつかあります。たとえば、主人公の名前が登場せず、劇中ずっとただの「ドライバー」としか呼ばれないこと。犯罪者のための運び屋であること。そして、主人公が劇中で演じるスタントの一つが、明らかに『ザ・ドライバー』のワンシーンっぽいこと。でも、もちろん、仕上がりは全然別物です。
 この映画原作『ドライヴ』。手触りにたとえると「ザラッ」とした感じの小説でしょうか。ちょうどこんな本が読みたい気分だったんです。フィッツジェラルドとチャック・パラニュークを足して二で割って暴力を追加したようなイメージ。主人公の「ドライバー」は、性格はおとなしくて真面目、冷静沈着、話し方も理知的、それなのにいざとなると人を殺すことにまったくためらいがない、という……僕が死ぬほど好きなタイプです。
 物語が進むと、こっちが予想した展開をことごとく裏切っていくんですよね。ちょっと調べてみると、どうやらこの定石の外し方が作者であるジェイムズ・サリスの特徴みたいで。感動的なシーンほど淡白に描くんです。その計算された淡白さと無駄のなさのおかげで、こちらは物語に感情をのせやすい。想像力を使って作中の「空気」を楽しむことができる。特に印象的なのは、主人公の母親に関する回想。日常のなんてことない一コマを切り取って、些細なきっかけで人間の心が折れる瞬間を活写します。映画版の公開が楽しみで楽しみでたまりません。